山陰海岸国立公園は京都府丹後の網野海岸から、兵庫県の但馬御火浦を経て鳥取県の東部の鳥取砂丘まで至る日本海側の75kmもの海岸線を中心とした国立公園です。公園を中核とするエリアは世界ジオパークである山陰海岸ジオパークに指定されており、地質遺産の保全・保護やジオツーリズムなどが行われています。ジオパークとは地球化学的な価値を持つ遺産を保全して教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進めるための地域認定プログラムです。地球や大地を意味するジオと公園を意味するパークを組み合わせた言葉で、ジオはたんに地質のみを意味するのではなく地球科学的な価値を持つ全てのものを含みます。そのため日本ではジオパークという言葉を使用するのに加えて、意味を説明するために「大地の公園」という表現が使われています。

ジオパークにおける活動は大地の遺産に関する保全と教育、ジオツーリズムの3つに分類することが可能です。ジオツーリズムでは大地の遺産を楽しむための観光地化を推進して、地域における経済の持続可能な発展を目指します。ある地域はジオパークを名乗るためには、ネットワークに加盟するための審査と認定を受けなければなりません。4年に1回の頻度で現地審査を含む再認定審査が行われており、条件を満たさなければ加盟認定が取り消される可能性もあります。世界ジオパークネットワークの審査を受けて加盟が認定されている山陰海岸ジオパークのような場所は、世界ジオパークと名乗ることができます。山陰海岸国立公園のエリアを中心とする山陰海岸ジオパークは、2010年に世界ジオパークネットワークへの加盟が認定されました。このジオパークは日本海形成に伴う多様な地形や地質、人々の風土と暮らしをテーマとしています。エリアの規模は東西が100km以上で南北が約30kmとなっており、京都府京丹後市から鳥取県鳥取市まで至ります。

兵庫県の香住海岸も山陰海岸国立公園に属し山陰海岸ジオパークの一部となっている場所で、国の名勝にも指定されています。この海岸は香住湾を中心とする海岸線で構成されており東部には城山半島と黒島などの島々、西武には香住浜や鎧の袖があり無数の海食崖や奇岩などを見ることができます。鎧の袖は香住海岸にある柱状節理と板状節理の断崖で、国の天然記念物にも指定されている場所です。武士の鎧の草摺りを彷彿させる高さ65メートル、長さ200メートルの大海食崖で観光客にも人気があります。傾斜角が70度で海面から切り立つ巨大な崖なので、香住漁港か東港香住港から遊覧船に乗って見学します。