兵庫県美方郡香美町にある岩礁海岸は、山陰海岸国立公園に含まれる場所で香住海岸の呼び名で呼ばれている海岸です。香住湾を中心にした海岸線の呼び名で、東側には城山半島をはじめ、離島の黒島や白石島などの島々、西側には香住浜や国の天然記念物に指定されている鎧の袖、松ヶ崎・蜂ノ巣島・鷹ノ巣島・但馬松島などの島々が点在しているのが特徴です。
鎧の袖は、岩体が柱状になっている節理でもある柱状節理や岩体に発達した規則性を持つ割れ目があって両側にはずれがない節理でもある板状節理、これらの断崖で高さ65メートル長さ200メートル、傾斜角度が70度などの海面から切り立つように見える大海食崖です。景勝地としても人気があるなど東港香住港や香住漁港などから出航する遊覧船を利用して見学ができます。
香住海岸周辺には様々な観光スポットがありますが、兵庫県香美町には大乗寺と呼ぶ寺院があります。こちらの寺院は、高野山真言宗のお寺さんで西国薬師四十九霊場の第二十八番札所に指定されているなどの特徴を持ちます。西国薬師四十九霊場は、薬師瑠璃光如来を祀っている霊場の総称でもあり、兵庫県をはじめ、大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山・三重などの近畿地方にある七府県四十九ヶ寺の西国薬師霊場です。
大乗寺の歴史は、寺伝の中では天平17年(745年)に飛鳥時代から奈良時代にかけて活動し続けた日本の仏教僧でもある行基が、自刻の聖観音を本尊として創建したなどの由来を持つ、長い歴史の中では戦乱を受けたことで寺勢は衰退するものの江戸時代後期の寛政年間には、当時の住職や密蔵などにより再興が行われたなどの言い伝えもあります。
再興に貢献した密蔵は、京都に訪問した際に苦学中の円山応挙に銀三貫目を与え、大成を果たしたことで密蔵の恩を返す目的で弟子12名と一緒に客殿襖絵・屏風などの作品を残した、そしてその中の165点はいずれも国の重要文化財に指定されているなど日本文化の象徴ともいえるものが多数あることがわかるのではないでしょうか。
なお、大乗寺は石川県金沢市にも同名の寺院があります。こちらの寺院の伽藍は、日本文化の象徴ともいえる禅宗建築なかんずく曹洞宗寺院建築の典型的な七堂伽藍の配置を示すものです。仏殿は国の重文指定でこれ以外の建造物は、石川県や金沢市の指定有形文化財など日本の伝統技術を目にすることもできます。兵庫県の大乗寺(香住海岸)は、午前9時から午後4時までの拝観、様々な日本文化や伝統を目にすることができるなどおすすめです。