余部鉄橋空の駅は、兵庫県の美方郡香美町にある展望施設で、JR西日本旅客鉄道山陰本線に隣接しています。山陰本線の余部橋梁の老朽化に伴い、架け替えに合わせて道の駅と共に整備され2010年に完成、2013年にオープンしたのがこの展望施設の空の駅です。

整備に要した費用は約5億5千万円ですから、資金を投入した兵庫県の本気が窺えます。ちなみにこの整備は、余部周辺の観光資源を活用する整備の一環です。余部橋梁の西側を一部活用する形で建設されており、旧余部橋梁の面影が見て取れます。鉄橋展望台ということもあって幅は約3m、全長は約68mと存在感があります。また先端からは往時の線路、枕木の軌道を見ることができます。
遠くを見渡せば日本海と集落が望めますから、観光に適したとても魅力的なロケーションだといえるでしょう。その後、地上からのエレベーターが整備されたことで、観光施設としてモダンな印象に拍車が掛かっています。このエレベーターが余部クリスタルタワーの愛称で呼ばれるのと共に、展望施設部分は延伸が施工されました。
一般利用は2017年の11月から始まっていますが、近年は新型コロナウイルスの影響もあり、感染症対策で1回あたり定員4名までの限定的な運用です。エレベーターの稼働は通常だと午前6時00分から午後23時00分までなので、朝早くから利用できます。魅力のあるモダンさで注目を集めていますが、旧余部鉄橋は明治45年に完成しており、東洋随一の鋼トレッスル橋の観光名所として親しまれてきた歴史があります。
つまり、100年以上も前に完成して観光客を呼び込んでいたわけですが、昭和61年に列車の転落事故が発生します。この出来事で架け替えが検討されるようになり、取り組みが進められ平成22年の2010年に現在の余部鉄橋空の駅が完成しました。旧余部鉄橋には約100年ものあいだ山陰本線を支えてきた歴史があって、それを後世に伝え残す為に観光拠点として活用する計画に組み込まれた形です。
肝心の観光客の評判は良好で、無料で利用できたり綺麗に整備されていて眺めが良いなど好評です。周辺にはグルメなお店や宿泊施設もありますから、余部鉄橋空の駅を含めた観光が楽しめるスポットとなっています。余談ですが、旧鉄橋の線路は歩くことができるので、歩きながら掲示物の説明を読んで歴史に触れることが可能です。混雑する時は観光客で賑わいますが、人がまばらな時は独り占めする気分や自分しかいないような感覚が味わえます。